クローゼットから見つける 自分らしいスタイル構築のヒント
はじめに:手持ち服との向き合い方でスタイルは変わる
リモートワークが定着し、私たちの服装に対する考え方は変化してきました。自宅で快適に過ごせること、しかしオンライン会議やたまの外出時にはきちんと見せたいというニーズ。そして何よりも、流行に左右されず、自分らしくいられる心地よいスタイルを見つけたいという思いがあるのではないでしょうか。
新しい服を買い足すことももちろんファッションを楽しむ方法の一つですが、まず立ち止まって、今お手持ちのクローゼットと向き合ってみることから、自分らしいスタイルが見えてくることがあります。クローゼットは、これまでのあなたが選んできた服の集まりであり、あなたの潜在的な「好き」や「心地よい」が詰まった宝箱のようなものです。
この記事では、クローゼットを整理し、手持ちの服を最大限に活かすことで、自分らしいファッションスタイルを構築するための具体的なヒントをご紹介します。
ステップ1:クローゼットの「見える化」と選別
まずは、お手持ちの服すべてを「見える化」することから始めます。タンスやクローゼットの中にしまいっぱなしになっている服も含め、一度すべてを出してみてください。これにより、自分がどんな服をどれだけ持っているのか、全体像を把握できます。
次に、以下の3つの基準で服を選別していきます。
- 「好き」か?:デザイン、色、素材など、純粋に心惹かれる服か。
- 「似合う」か?:着ていて肌が明るく見えたり、体型がきれいに見えたりするなど、自分に合っていると感じる服か。友人や家族に聞いたり、写真に撮って客観的に見るのも有効です。
- 「着る」か?:今のライフスタイルや活動内容に合っていて、実際に着る機会がある服か。
この選別の過程で、「好きだけど似合わない」「似合うと言われたけど着ていて心地よくない」「なんとなく買ったけれど一度も着ていない」といった服が見つかるかもしれません。これらは、あなたの「好き」と「似合う」「着る」の基準を明確にするための大切なヒントになります。
すぐに手放すかどうか決められない服は、「保留ボックス」に入れるなどして、しばらく様子を見るのも良い方法です。大切なのは、あなたの今の気持ちやライフスタイルに寄り添って、着るたびに気分が上がる服、心地よくいられる服だけを残すということです。
ステップ2:残った服から「自分らしさ」のヒントを見つける
選別を終えてクローゼットに残った服は、あなたの「好き」や「心地よさ」が凝縮された精鋭たちです。これらの服を改めて眺め、共通点を探してみましょう。
- 色の傾向:ベーシックカラーが多いか、鮮やかな色が多いか。暖色系か寒色系か。
- 素材の傾向:天然素材、ストレッチ素材、光沢のある素材など、どのような素材が多いか。着心地の良さを重視しているか。
- シルエットの傾向:ゆったりとしたシルエット、体にフィットするシルエット、Aライン、Iラインなど、どのような形が多いか。
- デザインの傾向:シンプルなデザイン、デザイン性のあるもの、柄物など。
これらの共通点は、あなたが無意識のうちに選んでいる「自分らしい」スタイルの要素です。例えば、着心地の良いコットン素材のトップスが多く、全体的にゆったりとしたシルエットの服が多いなら、「リラクシーカジュアル」なスタイルがあなたにとって心地よいベースかもしれません。淡い色のニットが多く、柔らかい素材に惹かれるなら、「フェミニン」または「ソフトエレガント」な要素が強い可能性があります。
分析する際は、「これが私のスタイルだ」と決めつけるのではなく、「こういう傾向がある」「こういうものが心地よいらしい」と、自分自身を理解するためのヒントとして捉えることが大切です。
ステップ3:手持ち服を活かした着こなしの工夫
残った服の傾向が掴めたら、次はこれらの服を最大限に活かす着こなしの工夫をしてみましょう。
- 新しい組み合わせを試す:いつも同じ組み合わせになりがちなアイテムも、残った他のアイテムと組み合わせてみてください。意外な発見があるかもしれません。例えば、普段カジュアルに着ているトップスを、きれいめのボトムスと合わせることで、オンライン会議にも対応できるスタイルになることがあります。
- 小物を取り入れる:ベルト、スカーフ、アクセサリー、バッグ、シューズなど、小物ひとつで服の印象は大きく変わります。シンプルな服装も、個性的なアクセサリーを加えたり、色鮮やかなバッグを持ったりすることで、ぐっと自分らしさが際立ちます。リモートワーク中のオンライン会議であれば、顔周りを華やかに見せるピアスやネックレス、明るい色のトップスなどが効果的です。
- ワンマイルウェアと仕事服の境界線を曖昧にする:快適さを重視しつつ、急なオンライン会議にも対応できる服を選ぶ視点を持つと、日々の服選びが楽になります。例えば、シワになりにくい素材のシャツ、伸縮性がありながらきちんと見えるパンツ、カーディガンなど、家でも外でも、オンでもオフでも使えるアイテムを手持ち服の中から見つけ、ローテーションに組み込むことを意識します。
ステップ4:スタイルを「構築」し、アップデートする
手持ち服の傾向を理解し、様々な着こなしを試す中で、「こんなスタイルが好き」「こんな服を着ていると気分が良い」「こういう服が今の自分に合っている」という具体的なイメージが固まってきます。これが、あなたの「自分らしいスタイル」の輪郭です。
この輪郭を元に、今後の服選びの基準を明確にしていきます。
- 理想のスタイルイメージを言語化する:「シンプルで心地よい」「洗練された大人カジュアル」「自分らしさを感じる色を取り入れたスタイル」など、抽象的でも良いので言葉にしてみます。
- 理想と現実のギャップを把握する:今のクローゼットにある服で、理想のスタイルがどれくらい実現できるかを確認します。「ベーシックなボトムスが足りない」「顔周りを明るく見せるトップスがない」など、足りない要素が見えてきます。
- 計画的に買い足す:足りないアイテムは、衝動的に買うのではなく、リストアップしておき、理想のスタイル構築に役立つものだけを計画的に買い足します。この時、ステップ1で確認した「好き」「似合う」「着る」の基準を忘れずに、長く愛用できる質の良いものを選ぶことを意識します。
自分らしいスタイルは一度見つけたら終わりではなく、ライフスタイルや年齢とともに変化していくものです。定期的にクローゼットを見直し、今の自分に本当に必要な服は何か、どんなスタイルが心地よいかを確認することで、常に自分らしいファッションを楽しむことができます。
まとめ:クローゼットは「自分らしさ」の出発点
クローゼットと向き合うことは、単に服を整理すること以上の意味を持ちます。それは、これまでの自分の選択を振り返り、今の自分にとって何が大切か、どんなスタイルが心地よいかを発見するプロセスです。
手持ちの服を活かし、新しい組み合わせを試す中で、思いがけない自分の一面を発見したり、ファッションをより楽しむヒントを見つけたりすることができるでしょう。
ぜひ、お手持ちのクローゼットを「自分らしいスタイル」を見つけるための出発点として、楽しみながら向き合ってみてください。きっと、毎日の装いがもっと豊かで、あなたらしいものになるはずです。