着心地よくおしゃれに見える 自分らしいきれいめカジュアルの作り方
はじめに
ライフスタイルが多様化し、働く場所や時間に縛られない選択肢が増えた現在、日々の装いに対する考え方も変化してきています。特にリモートワークを中心に働く方々にとって、服装は単に外出のためのものではなく、心地よく集中できる環境を整える要素であり、時にはオンラインや対面でのコミュニケーションにおける印象を左右するものでもあります。
そうした中で、「快適さ」と「きちんと見え」、そして何より「自分らしさ」を両立できるファッションスタイルを見つけたいという思いをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。流行を追うことよりも、自分に似合うもの、心惹かれるものを選びたい。そんな方におすすめしたいのが、「きれいめカジュアル」というスタイルです。
この記事では、リモートワーク時代における「きれいめカジュアル」の考え方と、自分らしいスタイルを心地よく実現するためのヒントをご紹介します。
「きれいめカジュアル」とは
「きれいめカジュアル」とは、リラックス感のあるカジュアルなアイテムに、オフィスシーンでも通用するような上品さや清潔感をプラスしたスタイルのことを指します。例えば、カットソーにきれいめのパンツを合わせたり、ブラウスにデニムスカートを組み合わせたりと、テイストの異なる要素をバランスよくミックスするのが特徴です。
リモートワークにおいてこのスタイルが適しているのは、以下の理由が挙げられます。
- 快適性: 体を締め付けない柔らかな素材や、動きやすいシルエットのアイテムを取り入れやすいため、長時間座っていても疲れにくい快適さを保てます。
- 見栄え: カジュアルなアイテムでも、素材やシルエット、色選びに気を配ることで、オンライン会議など画面越しでもきちんと感のある印象を与えられます。
- 着回し力: オンラインとオフライン、仕事とプライベートの垣根が曖昧になりがちなリモートワーク環境において、着るだけで気分を切り替えやすく、そのまま外出にも対応できる汎用性の高さがあります。
- 自分らしさ: 定義が比較的自由であるため、自身の好みや個性を反映させやすい余地が大きいスタイルです。
自分らしい「きれいめカジュアル」を見つけるステップ
自分にとって最適な「きれいめカジュアル」を見つけるためには、いくつか段階を踏んでみることが有効です。
1. 現在の自分と向き合う
まずは、ご自身のライフスタイルや体型、そして内面的な好みを改めて見つめ直してみましょう。
- ライフスタイル: リモートワークの頻度、オフィスや外部での対面機会の有無、通勤時間(もしあれば)、プライベートでの活動内容などを具体的に書き出してみます。これにより、どのような機能性(例: 洗濯のしやすさ、シワになりにくさ、ストレッチ性)やテイスト(例: 動きやすさ重視、きちんとした印象重視)が必要かが見えてきます。
- 体型: ご自身の体型特徴を把握することで、よりきれいに見えるシルエットや、カバーしたい部分、強調したい部分などが明確になります。無理に体型を隠すのではなく、きれいに見せるデザインを選ぶ視点が大切です。
- 好み: どんな色や素材に惹かれるか、過去に着ていて心地よかった服、褒められた服などを思い出してみましょう。漠然とでも「好き」と感じる要素は、スタイル構築の重要なヒントとなります。
2. 基本アイテムの選び方
「きれいめカジュアル」の基本となるアイテム選びでは、特に素材、シルエット、色に注目します。
- 素材: ジャージ素材やスウェットなども、表面が滑らかでハリのあるもの、光沢感のあるものを選ぶと、カジュアルながら上品な印象になります。リネンやコットンでも、洗いざらしではなく適度なハリやツヤがあるものを選ぶと、きちんと感が生まれます。ニットであれば、毛玉になりにくい高密度なものや、カシミヤ混など上質な素材を選ぶと、ラフになりすぎません。
- シルエット: 体のラインを拾いすぎない、適度にゆとりのあるシルエットが基本です。ただし、全身をルーズにしすぎるとだらしなく見えてしまうため、トップスがゆったりしていればボトムスはすっきりさせる、あるいはその逆、というように、どこかでメリハリをつけることを意識します。例えば、ワイドパンツにはフィット感のあるトップスを合わせる、オーバーサイズのシャツには細身のパンツやスカートを合わせるなどです。
- 色: ベージュ、グレー、ネイビー、ホワイト、ブラックといったベーシックカラーを基調にすると、上品にまとまりやすく着回しやすくなります。顔周りに来るトップスには、自身の肌色を明るく見せるような色(パーソナルカラーを参考にしても良いでしょう)を取り入れると、オンライン会議でも健康的な印象を与えられます。鮮やかな色や柄物を取り入れる場合は、一点集中にするなど、全体のバランスを考慮すると洗練された印象になります。
3. オンオフで着回せる工夫
リモートワーク服を選ぶ際は、そのままオフラインの活動にも使えるかという視点を持つと、ワードローブ全体の効率が上がります。
- レイヤード: 一枚で着るとカジュアルでも、シャツやカーディガンを羽織ったり、ジャケットの中に着たりすることで、きれいめな印象にシフトできるアイテムを選びます。
- 小物使い: いつものカットソーとパンツの組み合わせも、上品なネックレスやピアス、デザイン性のあるベルト、きれいめなレザーバッグなどをプラスするだけで、雰囲気を変えることができます。オンライン会議で顔周りを華やかに見せたい場合にも、大ぶりのイヤリングなどが効果的です。
- 靴: スニーカーでカジュアルにまとめる日もあれば、ローファーやきれいめなフラットシューズ、ヒールのあるパンプスなどを合わせることで、全体の印象を「きれいめ」に引き上げることができます。
アイテム別「きれいめカジュアル」のヒント
いくつかの主要なアイテムについて、きれいめカジュアルに取り入れる際のヒントをご紹介します。
トップス
- カットソー・Tシャツ: 上質なコットンやとろみのある素材、適度なハリのある素材を選びます。首元はボートネックや浅めのVネックなど、開きすぎないきれいなラインのものを選ぶと上品です。無地が基本ですが、細めのボーダーなどもアクセントになります。
- ブラウス: サテンやとろみ素材、軽いシフォン素材などは、着心地が良くながらもきちんと見えやすい代表的なアイテムです。オンライン会議で顔周りを明るく見せるなら、淡い色やペールトーン、あるいは控えめな柄物もおすすめです。フリルやギャザーも、控えめなデザインであれば上品な華やかさを添えます。
- ニット: 薄手で目の詰まったハイゲージニットはきれいめな印象を与えやすいです。カシミヤやメリノウール混など、素材にこだわると着心地も良く、長く愛用できます。デコルテをきれいに見せるVネックや、きちんと感のあるクルーネックなどが定番です。
ボトムス
- パンツ: センタープレスの入ったテーパードパンツやワイドパンツは、脚のラインをきれいに見せつつ、リラックス感も保てる優れものです。落ち感のある素材や、ストレッチの効いた素材を選ぶと快適です。デニムを選ぶ際は、濃いインディゴやブラックで、ダメージ加工の少ないきれいめなものを選ぶとカジュアルになりすぎません。
- スカート: フレアスカートやプリーツスカートは、座っていることが多いリモートワークでもシワになりにくく、華やかさをプラスできます。素材は、ポリエステルなどのシワになりにくいものや、落ち感のあるものを選ぶと良いでしょう。タイトスカートを選ぶ場合は、ストレッチ性のある素材やバックスリット入りのものを選ぶと動きやすいです。
羽織り物
- カーディガン: 薄手のロングカーディガンや、きれいなシルエットのミドル丈カーディガンは、体温調節にも便利で、縦のラインを強調してすっきり見せる効果も期待できます。素材はウールやカシミヤ混、あるいは自宅で洗える機能素材などがおすすめです。
- ジャケット: リモートワーク中もサッと羽織れる、カーディガン感覚で着られるようなストレッチ性の高いジャケットや、リラックス感のあるリネンジャケットなどがあると便利です。オンライン会議で印象を引き締めたい時に活躍します。
自分らしいスタイルを育むために
「きれいめカジュアル」は、あくまで自分らしく装いを楽しむための一つのヒントです。特定のアイテムや着こなし方に縛られる必要はありません。ご自身の心地よさ、そして「こんな自分でいたいな」という内面的な声に耳を澄ませながら、少しずつワードローブを整えていくプロセスそのものが、自分らしいスタイルを育むことに繋がります。
新しいアイテムを取り入れる際は、すでに持っている服との相性を考えたり、着心地を実際に確かめたりする時間を設けてみてください。そして、お気に入りの服を着ることで生まれる、ささやかな高揚感や安心感を大切にしていただけたら嬉しいです。
ファッションは、自分自身を表現し、日々の気分を彩るための楽しいツールです。この記事が、皆さまが自分らしい「きれいめカジュアル」を見つけ、より心地よく、より自分らしく輝くための一助となれば幸いです。