感覚から明確なスタイルへ 自分らしいを確立するヒント
リモートワーク下でのファッションと「自分らしさ」
リモートワーク中心の働き方が定着し、私たちの装いに対する意識も変化しています。快適さを重視する一方で、オンライン会議での見栄えや、仕事とプライベートの切り替え、そして何よりも自分らしい個性をどのように表現するか、といった新たな課題も生まれています。
以前は通勤スタイルやオフィスカジュアルといった基準がありましたが、自宅や好きな場所で働くスタイルでは、より自由に、そしてより主体的に服装を選ぶ必要があります。この自由さの中で、つい服装がルーティン化したり、「なんとなくラクな服を選んでいる」と感じたりすることもあるかもしれません。しかし、こうした時期だからこそ、「自分らしいスタイル」を改めて見つけ、育む絶好の機会とも言えます。
自分らしいスタイルとは、単に流行を追うことでも、特定のテイストに縛られることでもありません。それは、着ることで心が満たされ、自然と自信が生まれるような、自分の内面やライフスタイルに寄り添う装いです。そして、そのヒントは意外と、あなたが「なんとなく好き」と感じている服の中に隠されていることが多いのです。
「なんとなく好き」の感覚を深掘りするステップ
あなたが無意識に手に取っている服、着ると気分が上がる服には、必ず理由があります。「なんとなく好き」という感覚を、自分らしいスタイルを見つけるための羅針盤として活用しましょう。
1. 好きな服を分析する
今持っている服の中で、特にお気に入りのもの、よく着るもの、着ると落ち着くものなどをいくつか選んでみてください。そして、それらを次の視点から観察・分析してみます。
- 色・柄: どんな色や柄が多いですか? 特定の色味(例えば、ニュートラルカラー、アースカラー、ペールトーンなど)や、柄の傾向(無地が多い、ストライプが好きなど)はありますか。
- 素材感: どんな素材が好きですか? コットン、リネン、シルク、ニットなど、肌触りや落ち感、光沢感などに共通点はありますか。
- シルエット・形: どんな形の服が多いですか? ゆったりしたもの、フィットするもの、Aライン、Iラインなど、全体のシルエットや、襟の形、袖のデザインなどに特徴はありますか。
- 着心地: なぜその服を着ると心地良いと感じるのでしょうか? 締め付けがない、肌触りが良い、軽い、動きやすいなど、具体的な理由を考えてみましょう。
- 着た時の気分: その服を着るとどんな気持ちになりますか? リラックスできる、きちんと感が出る、気分が明るくなる、自信が持てるなど、内面的な変化に目を向けます。
2. 過去の体験を振り返る
過去のファッションで「しっくりきた」と感じた経験や、「褒められた」装いを思い出してみることも有効です。それはどんなアイテムでしたか? どんな組み合わせでしたか? 当時の自分の気持ちや、どんなシーンで着ていたかも一緒に振り返ることで、より深く自分の「好き」の根源に迫ることができます。
掘り下げた要素を「自分らしさ」として言語化する
分析を通して見えてきた共通点や傾向は、あなたのファッションにおける「核」となる要素です。これらの要素を、キーワードや短いフレーズで表現してみましょう。これが、あなたの「自分らしいスタイル」を定義する第一歩です。
例えば、 * 「肌触りの良い天然素材」「ニュートラルカラー」「体のラインを拾いすぎないリラックスシルエット」が多いなら → 「心地よさを追求した、クリーンで上品なカジュアルスタイル」 * 「シンプルで直線的なデザイン」「モノトーンや知的な寒色系」「パリッとした素材感」が好きなら → 「洗練された、ミニマルモダンなスタイル」 * 「明るい色」「柔らかな素材」「曲線的なシルエット」が多いなら → 「優しげで、軽やかなフェミニンスタイル」
のように、複数の要素を組み合わせて自分だけのスタイルを表現してみてください。最初は抽象的でも構いません。「快適さと上品さ」「リラックスできるけどきちんと見える」「自分らしさを感じさせるアクセント」など、感覚に近い言葉から始めて、徐々に具体的にしていきます。
定義した「自分らしさ」を日々の装いに反映させる
自分らしいスタイルのキーワードが定まったら、それを意識して日々の服選びや着こなしに取り入れてみましょう。
ワードローブの見直しと軸アイテムの設定
自分が定義したスタイルと照らし合わせながら、今のワードローブを見直します。キーワードに合う服は残し、そうでない服は整理を検討します。そして、定義したスタイルを体現するような、ベーシックかつ質の良いアイテムをいくつか「軸アイテム」として設定します。これらは着回しやすく、様々なシーンに対応できるものを選びます。
新しいアイテム選びの基準にする
新しい服を迎える際は、そのアイテムがあなたの定義した「自分らしいスタイル」に合致するかを基準に考えます。流行だけではなく、「これは自分のスタイルに合うか」「着ることで気分が上がるか」「長く愛用できそうか」といった視点を大切にします。色、素材、シルエットだけでなく、服が持つ「雰囲気」があなたのスタイルと調和するかどうかも重要な判断基準です。
コーディネートへの応用
軸アイテムを中心に、どのように着回していくか、どんな小物(アクセサリー、靴、バッグなど)を合わせるかを考えます。定義したスタイルに沿って色合わせやシルエットのバランスを意識すると、全体の統一感が生まれ、洗練された印象になります。オンライン会議では顔周りを明るく見せるトップスやアクセサリーを、たまのお出かけには少し非日常感をプラスするアイテムを、などシーンに合わせて微調整することで、スタイルを楽しみながら着こなすことができます。
スタイルは育むもの
「自分らしいスタイル」は一度見つけて終わり、というものではありません。ライフスタイルの変化、年齢による体型の変化、そして何よりもあなた自身の内面の変化と共に、スタイルも自然と変化し、成長していくものです。
時には新しい色やシルエットに挑戦したり、異なるテイストのアイテムを取り入れてみたりすることで、スタイルの幅を広げ、さらに自分らしい表現を発見することができます。試着を重ねたり、普段は選ばないようなアイテムを試してみたりする中で、「これも意外と自分に合うな」「こういう組み合わせも好きだな」といった新たな気づきがあるかもしれません。
「なんとなく好き」という感覚からスタートし、それを言語化し、意識的に日々の装いに取り入れていくプロセスそのものが、あなた自身の「スタイルを育む」時間となります。
まとめ
リモートワークという環境下で、自分らしいファッションスタイルを見つけることは、単におしゃれになるということ以上の意味を持ちます。それは、自分の内面と向き合い、心地よさや自信を装いを通して表現することです。
「なんとなく好き」という直感を大切にし、その理由を丁寧に掘り下げてみてください。そして、見えてきた自分だけの要素をスタイルとして言語化し、日々の服選びや着こなしに反映させていくことで、あなたの装いはより一層、あなたらしい輝きを放つでしょう。
自分らしいスタイルを育む旅を楽しんでください。日々の装いが、あなたの気分を上げ、自信を与え、豊かな時間へと繋がることを願っています。