気分とシーンに合わせて自分らしいスタイルを使い分けるヒント
リモートワーク中心の毎日で、服装はどう選んでいますか
リモートワークが日常の中心となった今、服装に対する考え方も変化しているかもしれません。以前のように毎日決まった時間に通勤する生活とは異なり、自宅で仕事をする日、オンラインで会議がある日、たまにオフィスや取引先へ出向く日、そしてもちろんプライベートで外出する日など、日によって過ごし方や必要とされる服装のトーンは多様化しています。
このような環境では、仕事着と普段着の境界線が曖昧になり、つい楽な服装ばかりを選んでしまうという方もいらっしゃるかもしれません。それは自然な流れではありますが、一方で「毎日同じような服」「なんだか気分が上がらない」「仕事とプライベートのオンオフがつけにくい」と感じることもあるのではないでしょうか。
自分らしいファッションスタイルを見つける旅は、流行を追うことだけではありません。むしろ、ご自身の内面や日々の生活に寄り添い、心地よさを大切にしながら、その日の気分や目的に合わせて服装を選ぶというアプローチも、大切なヒントの一つとなります。服装を選ぶという日々の行為を通して、ご自身の気持ちに意識を向け、表現することで、単調になりがちな毎日に彩りを加え、モチベーションを高めることにもつながります。
この記事では、リモートワークを中心としたライフスタイルの中で、その日の気分やシーンに合わせて自分らしいスタイルを心地よく使い分けるための考え方や具体的なヒントをご紹介いたします。
なぜ「気分とシーン」で服装を選ぶことが大切なのか
毎日の中で服装を意識的に選ぶことは、単に外見を整えるだけではなく、ご自身の内面に様々な良い影響をもたらします。
まず、リモートワーク環境では、外部からの刺激が少なくなりがちです。意識的に服装を変えることは、日々の生活にリズムや変化をもたらし、マンネリを防ぎ、モチベーションの維持に役立ちます。着るもの一つで、気持ちが引き締まったり、リラックスできたり、創造性が高まったりするのを実感された経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
また、服装は仕事の効率や集中力にも影響を与えると考えられています。例えば、少しきちんと感のある服装をすることで、自然と気持ちが仕事モードに切り替わり、集中力が高まることがあります。反対に、完全にオフの日は心身ともにリラックスできる服装を選ぶことで、休息の質が高まります。
オンライン会議や、たまの対面での打ち合わせがある日には、服装は相手に与える印象を左右する要素となります。TPOに合わせた服装を選ぶことは、円滑なコミュニケーションや信頼関係の構築にもつながります。
そして何よりも、その日の気分や目的に正直に、ご自身の心にフィットする服装を選ぶことは、自分自身を大切にする行為です。心地よさや「着ていて楽しい」という感覚を重視することで、日々の満足度が高まり、自分らしいスタイルとは何かをより深く理解する機会にもなります。
気分とシーンに合わせたスタイル選びの考え方
では、具体的にどのようにしてその日の気分やシーンに合わせた服装を選んでいけばよいのでしょうか。いくつかのステップに分けて考えてみましょう。
ステップ1:その日の気分や目的を明確にする
朝起きた時や、その日の予定を確認する際に、まずはご自身の「今日の気分」や「今日の目的」に少し意識を向けてみます。
例えば、 - 「今日は集中してデスクワークを進めたい」 - 「オンライン会議でポジティブな印象を与えたい」 - 「午後に気分転換で近所を散歩したい」 - 「今日はあまり気乗りしないけれど、少しでも気分を上げたい」 - 「完全にオフなので、心からリラックスしたい」
このように、簡単な言葉で構いませんので、その日の過ごし方や、ご自身がどのように感じたいかを把握することから始めます。
ステップ2:服装の「トーン」を調整する
その日の気分や目的が明確になったら、それに合わせて服装の「トーン」を選んでみましょう。服装のトーンとは、例えば以下のようなものです。
- 「集中・ビジネス」トーン: きちんと感、信頼感、シャープさ
- 「リラックス・快適」トーン: 心地よさ、柔らかさ、動きやすさ
- 「アクティブ・活動的」トーン: 軽快さ、機能性、カジュアルさ
- 「リフレッシュ・高揚」トーン: 明るさ、華やかさ、特別感
これらのトーンの中から、今日の気分や目的に最も合うものを選びます。例えば「集中したい日」なら「集中・ビジネス」トーンをベースに、「気分を上げたい日」なら「リフレッシュ・高揚」トーンを少し加える、といった具合です。
ステップ3:アイテム選びの基準を設ける
選んだトーンに合わせて、具体的なアイテムを選びます。この際、素材、色、シルエット、そして着心地を基準に考えると選びやすくなります。
- 素材: 集中したい日はハリのある素材、リラックスしたい日は柔らかな素材など、素材感が気持ちに与える影響を考慮します。
- 色: 明るい色は気分を高揚させ、落ち着いた色は集中力を助けるなど、色の心理的な効果を利用します。ご自身に似合う色を知っていると、さらに効果的です。
- シルエット: きちんと見せたい日はすっきりとしたシルエット、動きやすさ重視の日はゆとりのあるシルエットなど、目的と快適さのバランスを考えます。
- 着心地: どんなトーンを選ぶ場合でも、ご自身が心地よく過ごせるかどうかが最も重要です。締め付けがないか、肌触りは良いかなどを確認します。
ステップ4:小物やヘアメイクで最終調整
服装が決まったら、小物(アクセサリー、スカーフ、メガネなど)やヘアメイクで全体の印象を調整します。例えば、リラックス感のある服装でも、アクセサリーを一つ加えるだけでオンライン会議にも対応できるきちんとした印象に変わることがあります。ヘアスタイルを整えるだけでも、気持ちが切り替わります。
具体的な気分・シーン別着こなし例
リモートワーク中心の生活における、いくつかの具体的な気分やシーンに合わせた着こなし例を考えてみます。
【例1】「集中したい日」のスタイル
自宅での作業に集中したい日、適度な緊張感を持ちたい時には、快適さを保ちつつも「きちんと感」のあるアイテムを選びます。
- トップス: シャツ、ブラウス、きれいめなカットソー。首元が開きすぎないデザインを選ぶと、オンライン会議でも安心感があります。
- ボトムス: センタープレスの入ったニットパンツやジャージー素材のパンツ、あるいはストレッチ性のあるきれいめなスカートなど。ウエストが楽なものを選ぶと、長時間座っていても快適です。
- 羽織り: ジャケットよりもカーディガンやきれいめなニットパーカーなどが、自宅での仕事に馴染みやすく、体温調節にも便利です。
- 色: ベージュ、ネイビー、グレー、ホワイトなど、落ち着いたベーシックカラーを中心に。差し色でトップスに明るい色を取り入れるのも良いでしょう。
【例2】「リラックスしたい日」のスタイル
心身ともに休息をとりたい日、ゆったりと過ごしたい日には、何よりも心地よさを優先します。
- トップス: 肌触りの良いコットンやカシミヤ混のニット、スウェット、ロングTシャツ。
- ボトムス: ウエストゴムのイージーパンツ、リラックス感のあるワイドパンツ、レギンスなど。
- その他: 体を締め付けないワンピースや、セットアップなども便利です。
- 色: ペールトーン、ニュートラルカラー、ご自身が「癒される」と感じる色を選びます。
- だらしなく見えない工夫: 素材に少し光沢があるものを選んだり、上下の色のトーンを合わせたり、ヘアスタイルを軽く整えたりすることで、手抜きに見えないリラックススタイルになります。
【例3】「オンライン会議の日」のスタイル
画面越しでも好印象を与えたいオンライン会議の日には、上半身のアイテム選びが重要です。
- トップス: 顔周りを明るく見せる色(白、パステルカラーなど)や、デコルテをきれいに見せるデザイン(Vネック、ボートネックなど)。無地で上品な質感のものが映えます。
- デザイン: 袖にデザインがあったり、ブラウスにフリルやギャザーがあったりすると、単調になりません。
- アクセサリー: 小ぶりのネックレスやイヤリングをつけるだけで、顔周りが華やかになり、きちんと感がプラスされます。
- 色: PCの画面を通して見た時に、顔色が良く見える色を選ぶのがポイントです。
【例4】「ちょっと外出する日」のスタイル
リモートワークの合間や終わりに、気分転換で近所へ買い物や散歩に出かける日。リモートワーク服からスムーズに移行できるスタイルが便利です。
- ベース: 例1または例2のような、自宅で快適に過ごせるスタイルを基本とします。
- アレンジ: 上着(ジャケット、コート、きれいめなパーカーなど)を羽織る、靴をスニーカーからフラットシューズやブーツに変える、バッグを持つ、ストールやアクセサリーを加えるなど、外出用のアイテムをプラスするだけで、一気にお出かけ仕様になります。
【例5】「自分を労りたい日」のスタイル
特に予定はないけれど、自分自身を大切に扱い、気持ちを満たしたい日には、感覚に訴えかけるアイテムを選びます。
- アイテム: お気に入りの色や柄の服、肌触りが最高に心地よい素材の服(シルク、カシミヤなど)、デザイン性の高いランジェリーやルームウェアなど、人にどう見られるかではなく、ご自身が「着ていて幸せ」と感じるものを選びます。
- 香り: 服に軽く香りをまとわせるのも、気分を高めるのに効果的です。
自分らしいスタイルを「使い分ける」ためのヒント
様々な気分やシーンに合わせて服装を選ぶことは、自分らしいスタイルを固定観念にとらわれずに柔軟に楽しむことにつながります。そのためのヒントをいくつかご紹介します。
- 「制服化」と「遊び」のバランス: 週の初めは「集中モードの制服」、週の後半や週末は「リラックスモード」「遊びモード」といったように、ある程度のパターンを決めておくと選びやすくなります。その中に、その日の気分で選ぶ「遊び」の要素を取り入れます。
- ワードローブの見直し: クローゼットの中を、それぞれのトーン(集中用、リラックス用、外出用など)で整理してみるのも良いでしょう。足りないアイテムや、着回しが難しいアイテムが見えてきます。
- 「心地よさ」を最優先: どんなトーンの服装を選ぶにしても、ご自身がストレスなく心地よく過ごせるかどうかが最も重要です。見た目だけでなく、着心地も大切な「自分らしさ」の基準です。
- 完璧を目指さない: 毎日完璧に気分やシーンに合わせる必要はありません。気負わずに、できる範囲で試してみることが大切です。時には直感で「今日はこれを着たい気分」という感覚を大切にするのも良いでしょう。
- 試行錯誤を楽しむ: どの服装がご自身の気分をどう変化させるのか、どのアイテムが特定のシーンに合うのかなど、試行錯誤を繰り返しながら、ご自身の体や心にフィットするスタイルを見つけていく過程そのものを楽しんでください。
ファッションを日々のサポーターにする
その日の気分や目的に合わせて服装を選ぶという小さな習慣は、単なる着替え以上の意味を持ちます。それは、ご自身の内面に意識を向け、自己表現を行い、日々の生活にポジティブな変化をもたらすためのパワフルなツールとなり得ます。
リモートワーク中心の今だからこそ、服装を外に向けた鎧としてだけでなく、ご自身の心地よさや内面を整えるためのサポーターとして活用してみてはいかがでしょうか。日々の装いを通じて、ご自身を大切にする時間を持つことが、自分らしいファッションスタイルを見つけ、確立していくための確かな一歩となるはずです。