気分を上げるリモートワークの色・柄・シルエット選び
リモートワークの服選びで気分は変わる
リモートワークが日常になる中で、服装への向き合い方が変化したと感じる方も多いのではないでしょうか。自宅での作業が中心となると、どうしても楽な服装を選びがちになり、気づけば一日中スウェットやルームウェアで過ごしている、という日もあるかもしれません。快適さは大切ですが、それが続くと仕事への集中力が途切れたり、気分が沈みがちになったりすることもあります。
たまにあるオンライン会議や対面での打ち合わせ、あるいは仕事終わりのちょっとした外出など、シーンに合わせて服を選ぶ際に、「何を着たら良いのか」「自分らしいスタイルって何だろう」と迷うこともあるかもしれません。自分に似合うもの、着心地の良いものを大切にしたいけれど、だらしなく見えたり、気分が上がらなかったりするのは避けたい。
ファッションは、単に身を包むだけでなく、私たちの内面や気分にも深く影響を与えます。特にリモートワークにおいては、外部からの刺激が少ない分、自分で意識的に気分を整えることが大切になります。その際に、服装は非常に有効なツールとなり得ます。
自分らしいスタイルを見つけ、日々の装いを楽しむことは、リモートワークの質を高め、生活全体を豊かにすることにつながります。そして、自分らしいスタイルを見つける第一歩として、比較的気軽に取り入れやすいのが、「色」「柄」「シルエット」といった要素です。
このセクションでは、リモートワーク環境で「着るだけで気分が上がる」服装を見つけるために、色、柄、シルエットそれぞれの選び方と、それらを日々の着こなしにどう活かすかのヒントをご紹介します。
服装が気分に与える影響
なぜ服装選びが私たちの気分に影響を与えるのでしょうか。それは、服装が私たちの意識や行動、そして他者からの見え方にも作用するからです。
まず、服装は物理的な快適さだけでなく、精神的な快適さにも関わります。肌触りの良い素材や、体を締め付けすぎないシルエットの服は、心身のリラックスにつながります。逆に、着心地の悪い服は、知らず知らずのうちにストレスの原因となることがあります。
次に、服装は自己認識に影響を与えます。仕事に適した服装に着替えることで、「これから仕事をするんだ」という意識が生まれ、仕事モードへの切り替えがスムーズになります。これは「エンクローズド・コグニション(被服認知)」と呼ばれる心理効果でも裏付けられています。だらしない服装のままだと、自宅でのリラックス気分から抜け出しにくく、集中力が維持しにくいということも起こり得ます。
また、服装は他者からの印象にも影響を与えます。オンライン会議などで画面越しに見える姿は、その人の印象を左右します。きちんとした、あるいはその人らしさが表れた服装は、信頼感やプロフェッショナリズムを伝える一助となります。そして、他者から良い印象を持たれることは、自身の気分やモチベーション向上にもつながります。
さらに、自分の「好き」や「心地よさ」を基準に選んだ服を着ることは、自分自身を大切にすることにつながります。自分らしいと感じる服に袖を通すことで、自己肯定感が高まり、前向きな気持ちになることができます。流行を追うこと以上に、自分に「しっくりくる」服装を選ぶことが、リモートワークにおける気分の向上には重要です。
気分を上げる「色」の選び方と取り入れ方
色には、私たちの心理や生理に働きかける力があります。リモートワークの服装に「気分が上がる色」を取り入れることで、日々のモチベーションや集中力を高めることができます。
「今の自分」が心地よい色を選ぶ
パーソナルカラーの診断は参考になりますが、それだけにとらわれる必要はありません。「今の自分が着たい」「見るだけで気分が上がる」と感じる色を大切に選んでみましょう。それは、過去に好きだった色かもしれませんし、最近惹かれるようになった新しい色かもしれません。その時の自分の心の状態にフィットする色が、最も気分を上げてくれる色である可能性が高いです。
顔周りを明るく見せる効果
オンライン会議が多いリモートワークでは、上半身、特に顔周りの印象が重要になります。顔周りに明るい色や、ご自身の肌色をきれいに見せてくれる色を持ってくることで、画面越しでも顔色が良く、健康的で活き活きとした印象を与えることができます。例えば、柔らかなオフホワイト、アイボリー、淡いパステルカラー、あるいは肌なじみの良いベージュやコーラルピンクなどがおすすめです。
色の心理効果を活用する
一般的な色の心理効果を知っておくと、その日の気分や仕事内容に合わせて色を選ぶヒントになります。 * 青系: 集中力を高めたい時、落ち着いて仕事に取り組みたい時に。信頼感を与える色でもあります。 * 緑系: リラックスしたい時、穏やかな気持ちで作業したい時に。目の疲れを癒す効果もあると言われます。 * 暖色系(赤、オレンジ、黄など): 活動的になりたい時、ポジティブな気持ちで取り組みたい時に。オンライン会議で顔色を明るく見せる効果もありますが、面積が大きいと主張が強く感じられることも。 * モノトーン(白、黒、グレー): クールで洗練された印象。他の色を引き立てる効果があります。白は清潔感、黒は引き締め効果、グレーは落ち着きや安定感を与えます。
ただし、色の効果は個人差が大きいため、ご自身がどう感じるかを最も重視してください。
具体的な色の取り入れ方
- トップスに気分が上がる色を取り入れる: オンライン会議でも映える最も手軽な方法です。
- インナーやカーディガンで差し色に: 全身で取り入れるのは難しいと感じる色も、インナーや羽織りとしてなら挑戦しやすいです。
- 小物でアクセントに: スカーフ、アクセサリー、イヤリングなどで好きな色をプラスすると、全体の印象が明るくなります。
気分を上げる「柄」の選び方と取り入れ方
柄物を取り入れることは、装いにリズムや個性を加える効果があり、気分転換につながります。リモートワークの服装においては、派手すぎず、心地よく感じられる柄を選ぶことが大切です。
柄物の心理効果
柄物は無地の服に比べて視覚的な情報量が多く、楽しさや遊び心、あるいはきちんとした印象(ストライプなど)を与える効果があります。マンネリしがちなリモートワークスタイルに柄物を取り入れることで、視覚的な変化が生まれ、気分がリフレッシュされることがあります。
着やすい定番柄から始める
柄物を取り入れるのに慣れていない場合、まずは定番の柄から始めてみるのがおすすめです。 * ボーダー: カジュアルで親しみやすい印象。太さや色の組み合わせによって様々な雰囲気になります。 * ストライプ: きちんとした、知的な印象。縦のラインはすっきり見せる効果も期待できます。 * ドット: 小さめなら上品でかわいらしい印象に。 * 花柄/ボタニカル柄: 華やかで柔らかな印象。柄の大きさや色使いで雰囲気が大きく変わります。
リモートワークで着るなら、画面越しでもうるさく見えない、比較的小さな柄や、線が細い柄から試してみるのが良いかもしれません。
柄物の面積や位置で印象を調整
柄物を着る際に、「派手すぎるかな」「他のアイテムと合わないかな」と心配になることがあります。その場合は、柄物の面積や取り入れる位置を調整してみましょう。 * トップスで顔周りを華やかに: 柄物のブラウスやカットソーをトップスに持ってくると、画面映えし、顔周りの印象が明るくなります。 * ボトムスで取り入れる: 柄物のパンツやスカートは、トップスをシンプルにすれば挑戦しやすいアイテムです。 * 小物でアクセントに: スカーフ、バッグ、ソックスなどで柄を取り入れると、気軽に変化を楽しめます。
「着ていて気分が上がるか」「他のアイテムと自然に馴染むか」を基準に選んでみてください。
気分を上げる「シルエット」の選び方と取り入れ方
シルエットは、服の印象を大きく左右する要素であり、同時に着心地にも深く関わります。リモートワークでは快適さが重要ですが、だらしなく見えない、きちんとした印象も両立したいところです。
快適さと見栄えのバランス
自宅で長時間過ごすリモートワークでは、締め付けの少ない、体の動きを妨げないシルエットが快適です。しかし、ゆったりしすぎるとだらしなく見えたり、気分が切り替わりにくくなったりすることもあります。快適でありながら、すっきり見えたり、適度なきちんと感があったりするシルエットを選ぶことが理想的です。
「今の自分にフィットする」シルエット
体型をカバーすることだけを考えるのではなく、「今の自分が一番心地よく、きれいに見える」と感じるシルエットを探しましょう。 * トップス: ドロップショルダーや少し身幅のあるデザインはリラックス感がありつつ、素材を選べばきちんと見えも叶います。袖口や首元のデザインに少し変化があるものを選ぶと、オンライン会議で映えます。 * ボトムス: ウエストゴムでありながら、センタープレスが入っていたり、裾に向かって細くなるテーパードシルエット、あるいは広がりすぎないフレアシルエットなどは、快適さと上品さを両立できます。 * ワンピース: ゆったりとしたAラインや、ウエストマークできるデザインは、一枚でコーディネートが決まり、楽なのにきちんと見えやすいアイテムです。
素材感との組み合わせ
シルエットは素材感によって見え方が大きく変わります。例えば、同じゆったりとしたシルエットでも、ハリのある素材ならきちんと感が増し、とろみのある素材ならリラックス感とエレガントさが出ます。シワになりにくい素材や、ストレッチ性のある素材を選ぶと、快適さがさらに増します。
レイヤードでシルエットに変化
手持ちのベーシックなアイテムも、ベストやロングカーディガン、シャツなどを重ね着することで、簡単にシルエットに変化をつけられます。縦のラインを強調したり、動きのあるシルエットを作ったりすることで、いつもの服装の印象を変え、気分転換になります。
色・柄・シルエットを組み合わせて自分らしさを見つける
色、柄、シルエット、それぞれの要素を意識して服を選ぶことは、自分らしいスタイルを見つける上でとても有効です。これらの要素をどのように組み合わせるかで、同じアイテムでも全く異なる雰囲気を作ることができます。
例えば、 * ベーシックなシルエットのトップスでも、気分が上がる明るい色や、顔周りが華やぐ柄を選ぶ。 * リラックス感のあるシルエットのパンツに、きちんと感のある色や素材のトップスを合わせる。 * シンプルな色と柄の組み合わせに、シルエットに特徴のある羽織りをプラスする。
このように、いくつかの要素を意識的に取り入れることで、単なる「楽な服」から、「快適で気分が上がる、自分らしい服」へと変化させることができます。
自分に「しっくりくる」組み合わせを見つけるためには、実際に試着してみることが大切です。また、可能であればスマートフォンなどで自分の着ている姿を写真に撮ってみるのも良い方法です。客観的に見ることで、自分では気づかなかった似合う色やシルエット、バランスを発見できることがあります。
また、完璧を目指す必要はありません。その日の気分や予定に合わせて、「今日は色で気分を上げよう」「今日はリラックスできるシルエットを選ぼう」というように、一つか二つの要素から意識してみることから始めてみてください。
まとめ
リモートワーク中心の生活では、仕事とプライベートの境界線が曖昧になりがちです。服装は、この境界線を意識し、気分を切り替え、自分らしくいるための強力な味方となります。
今回ご紹介した色、柄、シルエットは、普段の服選びに少しの意識をプラスするだけで、毎日の気分や仕事への向き合い方を変える可能性を秘めています。
- 色: 心理効果や顔周りの印象を考えて、今の自分が心地よく感じる色を取り入れる。
- 柄: マンネリ解消や気分転換に、控えめな定番柄から挑戦し、面積や位置を調整する。
- シルエット: 快適さを基本に、自分にフィットする、だらしなく見えないバランスを見つける。
これらの要素を意識することで、リモートワーク中も快適でありながら、オンライン会議で自信を持って話せたり、仕事終わりにそのまま外出できたりと、装いから生まれる心地よさを感じられるようになります。
「自分らしいスタイル」は、一度に見つかるものではなく、日々の小さな試みや発見の積み重ねによって育まれていきます。色、柄、シルエットの選び方を通して、ぜひご自身の「気分が上がるポイント」を見つけてみてください。毎日の服選びが、自分自身を大切にする時間となり、リモートワークライフがより豊かになることを願っています。